犯罪被害にあわれた方とそのご家族、支援するこころの専門家のために

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医療、心理関係者の方へ

犯罪被害者の診療にあたっての留意点

犯罪被害者の診療には以下の点が重要です。

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  1. 犯罪被害者への先入観を排し、被害者の話に耳を傾けること
  2. まずは、安全と安心の確立
    • 環境の安全:加害者から危害を加えられる可能性について聞きましょう。特にDVや児童虐待、ストーカーの被害では重要です
    • 身体の安全:身体的治療は済んでいるか確認しましょう。性暴力被害者では産婦人科での診察、処置、避妊、性感染症検査のなどが重要です
  3. 緊急に対処の必要な精神症状の評価と対応
    • 自殺や自傷行為、精神病性の症状、アルコールや薬物の依存などの確認
  4. 加害者との関わりや司法手続きへの関与の確認
    • 加害者の逮捕や起訴の有無、公判での証人など
  5. その他のストレス状況の把握
    • 家族の病気や介護、仕事上の問題、人間関係の問題など影響を与えたり、先に対処するべき問題を確認
  6. 保護やサポートをしてくれる人の存在の確認
    • 被害者には周囲の支えが重要です。具体的に誰が支えになり支援してくれるのか確認し、その人にも情報を伝えることが必要です。

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犯罪被害者に接する際には以下の点を配慮しましょう
  1. 被害者の受けた被害の苦痛に職業人ではなく人間としての共感を示す
  2. 診療の中で被害者の心情を思いやり、対応する
  3. 治療や病状について必ず理由を説明し、同意を確認する
  4. 二次被害を与えないようにする
二次被害の例
  • 「‥だったら」など被害者の自責感を強める
  • 「いつまでも泣いてはいけない」など被害者が感情を出すことを禁止する
  • 自分の価値観を押し付ける
  • できないことを約束する
  • 被害者を無力化する

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犯罪被害者に対する基本的診療
  1. 心理教育
    • 自分の症状が異常なものでないことを理解できるようにする
    • 症状の理解と対処がわかるようにする
    • 本人だけでなく家族や恋人など支える人にも必要
      注)心理教育用のパンフレットは参考文献・資料を参照
  2. 現実の問題へ対処できるようにする
    • 自分で対処できる感覚(自己統制感)や有用感を高める
    • リラクセーション(呼吸法、筋弛緩法など)も有用
  3. 他機関との連携 被害者の問題は多様です。以下の機関との連携が重要です。

出典:中島聡美:第二部第一章 犯罪被害者治療の実践的組み立てと連携. 小西聖子編「犯罪被害者のメンタルヘルス」, 誠信書房, 2008年. より抜粋

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