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精神医療、心理関係者の方へ

さまざまな犯罪の被害者への治療・対応

虐待被害をうけた人のメンタルヘルスと治療

 ここでは、主に子ども虐待被害による後遺症をもつ成人サバイバー(以下成人サバイバー)について述べています。虐待による後遺症を見出すことは適切な支援のために重要です。症状にはPTSD症状に加えて複雑なトラウマによるDESNOS(Disorders of Extreme Stress Not Otherwise Specified:他に特定されない極度のストレス障害、以下DESNOS)症状があり、それを生活障害として捉えれば、従来の精神保健領域において行われている生活臨床的な心理教育モデルで対応が可能になります。

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成育歴を疑う時のポイント

 成人サバイバーがメンタルヘルスの現場に現れるいくつかのパターンを挙げました。

  • 子ども虐待の後遺症を主訴にして訪れる
  • 精神症状が薬物に反応しにくく難治である
  • 地域や他の治療機関で複雑困難なケースとされる
  • 再演としての被害、加害で問題になった場合

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対応に関してのポイント

  1. 現在の被害(加害)と安全の程度を把握し、再外傷を停止し、予防する。
    • 現在誰かから被害にあっていないか
    • 現在誰かに対する加害行動を行っていないか:子ども虐待を行っていることがわかった場合、治療者には通告義務があり、子どもおよび虐待する養育者双方への支援や分離が必要になる。
  2. 短時間面接の工夫
    診察時間が多くとれない精神科診療機関や相談機関においては、虐待によるトラウマを直接扱うより、状態像に応じた対症療法的な処方や、生活をしていく上でのスキルを向上させることを目標とした支援を行うのが適切です。あらかじめ心理教育の印刷物などを用意して、患者に適切な心理教育を行うことで、回復を妨げる悪循環要因を減らすことができます。
  3. グループを活用する 当事者のグループには以下の効果があります。必要に応じて利用を勧めることが役立ちます
    • 一人ではないことを知る
    • 自分の問題点を他のメンバーの中にみる
    • 自分をケアすることを学ぶ
    • 生きるよりどころになる

出典:白川美也子:第三部第四章 虐待被害をうけた人のメンタルヘルスと治療. 小西聖子編「犯罪被害者のメンタルヘルス」, 誠信書房, 2008. より抜粋

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