精神医療、心理関係者の方へ
地域精神保健における犯罪被害者の支援
災害や多くの被害者が出るような事故や事件では、地域としての対応が必要になります。また、個々の事例でも地域サービスと結びつくことで長期的なケアや他の機関のサービスも受けやすくなることから地域精神保健福祉機関の役割は重要であるといえます。
ここでは地域精神保健福祉の要である精神保健福祉センターと保健所の活動をとり挙げています。
- 精神保健福祉センターの役割
- 地域の被害者相談体制の一つとして位置づける
- 地域の関連機関(保健所、市町村職員など)へ研修を行う
- 精神保健福祉相談の中で犯罪被害者の相談を行う
- 関係機関への技術援助(講師派遣、事例検討、情報提供)
- 警察や民間被害者支援団体などの被害者に特有の機関との連携
- 犯者支援連絡協罪被害議会などへの参加
- 自助グループ支援
- 被害者や地域への自助グループの情報提供、啓発
- 会場の斡旋などの手伝い
- 例会への専門家の参加などの活動支援
- 災害や大規模事故などの緊急支援(CRT:Crisis Response Teamなど)
- 関係機関の協力により支援チームを結成する
- どの機関がコーディネートするか検討する
- どの機関が支援チームに参加するか検討する
- 検討会議を定期的に開催する
- 誰が検討会議に参加するか決める(実務担当者と責任者(特に初回))
- 検討会議で、支援計画の策定、進行状況の確認、今後の支援について意見交換を行う
- 電話相談窓口を開設する
- 地域における巡回相談窓口を設置する
- リーフレット等の啓発資料を配布する
- 関係者への心理教育を実施する
- 支援者への心理的サポートに配慮する
- 保健所の特徴と役割
- 保健所の特徴
- 住民と距離が近い
- 心身の状況を総合的に扱うことができる
- 保健師による訪問活動(アウトリーチ)が行える
- 保健所の役割
- 被害者へのこころのケアの提供
- 時期に応じたケアの提供
- 現場へのアウトリーチ
- 生活全般の支援活動
- 関連機関との連携
- ハイリスク者の把握とフォロウアップ
- 支援者へのこころのケアの提供
- 業務ローテーションと役割分担を明確にする
- 支援者ストレスについての心理教育
- 心身の変調についてのチェックリストの活用
- 被害者の反応についての研修、教育の提供
- 被害者へのこころのケアの提供
- 地域関連機関とのネットワーク
- 他の被害者関連機関や地域の支援機関との連携を行う
- 被災時などのシミュレーション研修を行う
- 保健所の特徴
出典:山下俊幸:第四部第一章 地域精神保健における犯罪被害者の支援の方法 精神保健福祉センター編. 竹之内直人:. 第四部第二章地域精神保健における犯罪被害者の支援の方法 保健所編.小西聖子編「犯罪被害者のメンタルヘルス」, 誠信書房, 2008年. より抜粋